1.内容
・いつ : 中国の戦国時代に
・ど こ : 秦・斉・楚・韓・趙・魏・燕・西周・東周・宋・衛・中山の12か国で
・だれ : 策士・論客・縦横家・遊説家と呼ばれた人達が
・なに : 言論・処世術・主張・術策・知略を
・ど う : 諸侯(君主)に説いた
ライバルを失脚させる策略も多々書かれています。諫言の書というよりは、あらゆる人間模様を見ることができます。
どういうことをすると成功し、どういうことをすると失敗するのか。そんな視点で読むと面白いと思います。
「戦国策」という書名が、戦国時代の語源となったのです。
(以下、要点のみの掲載となります)
2.諫言のヒント
(1) 自ら必要とさせる
『鄒忌が「自分と徐公とどちらが美しいか」と尋ねると、妻も妾も客も「徐公がなんであなたにかないましょうか」と言う。
「妻は私にえこひいきした。妾は私を恐れた。客は私に何か求めるところがあった」と思い至った。
そこで鄒忌は斉の威王(いおう)に会い、自分のことを例にして進言した。』
(2) 興味を引かせる
『「三言だけ申し上げたい。一言でも超過したら煮殺してください。」と会いに来た人が居た。靖郭君はそれならと会ってみた。
「海大魚」とだけ言い、その人は去ろうとした。靖郭君が「殺しはしないので続けてくれ。」と言う。』
回りくどい話ですが、教訓になる内容です。
3.現代への戒め
続いては、現代でも役立つ生きていくうえでの教えを見てみましょう。
(1) 情けと痛み
『人に物を施すというのは、多い少ないは問題ではない。その人が困っているときにするかどうかだ。
人から恨みを買うのは、深い浅いは問題にはならない。その人の心を傷つけたかどうかだ。』
(2) 功を誇るな
『人が自分を憎んでいることは知っていなければならないが、自分が人を憎んでいることはいつまでも覚えていてはいけない。
人が自分に恩徳を与えてくれたことは忘れてならないが、自分が人に恩徳を施したことは忘れなければならない。』
現実はこの逆が多いですね。
(3) 有り得ないことが真になる
『「誰かが市場に虎が出たと言ったら信じますか?」「いいや。」
「二人が同じ事を言ったら信じますか?」「半信半疑である。」
「三人が同じ事を言ったら信じますか?」「信じるであろう。」』
「三人、市に虎をなす」という言葉はここから来ています。
(大勢の人から聞くと、デマでも真実であるかのように聞こえる)
(4) 大諫言
『ある者が襄王に言った。「王様は田単の善行をお褒めになり、これをご自分の善行となさるのが良いでしょう。
こう仰ってください。私が万民のことで心を労すると、田単もやはり心配してくれた。私は満足に思っている。」』
この話は王の立場を良くするというだけでなく、国にとって必要な人物の命を救う目的があったのです。
その結果、斉は安泰となったのでした。
ものは言いようですね。相手の損得に訴えかけるのも有効な方法です。
(5) 言うならヤレ
『「孟嘗君の領地はほんのちっぽけなものであるのに、私のする事を阻もうとしている。それでもお出来になるつもりか。」
公孫弘は答えた。「孟嘗君には人物が居ります。たとえ相手が天子でも仕えず、志を得れば人臣となる者が3人。
宰相の師となる者が5人。たとえ相手が大国の君主であっても、その使者を辱めたら、自ら首を切る私のような者は10人はおります。」 』
この話には策略などありません。権力に対しても弱者のプライドで正々堂々と対峙したということです。
少数であっても人物の存在が、規模の理論に勝てる事を示しています。
いかがですか。歴史のウンチクには頷かされます。原則を学んでいきましょう。
4.格言・名言
最後に、戦国策が語源となったよく知られている言葉をみてみましょう。
「蛇足」
なくてよいもの。余分なもの。
「虎の威を借る狐」
他人の権勢をかさに着て威張る小人(しようじん)のたとえ。
「漁夫の利」
二者が争っているのに乗じて、第三者がまんまと利益を手に入れること。
みなさん良く知っている言葉です。語源はこんなところに有りました。だからといって、言葉の説明をしたい訳ではありません。
論客たちはこれらを例え話として用いることにより、自説を君主に説いたのです。ここまで読んでお分かりかと思いますが、
例を出すことが非常に多かったのですね。
また、このような言葉もあります。
「先ず隗より始めよ」
遠大な計画は、まず手近なことから始めるとよい。何事も、まず言い出した人から実行しなさい。
「士は己を知る者の為に死す」
己を認めてもらえれば、死んでもかまわないという感情。
この表現は何を言わんとしているのか、と考えながら読んでみてはいかがでしょうか。このように歴史書を読んでいくと面白いものです。
参考文献:明治書院「戦国策」林秀一著
参考サイト:「中国的こころ 列伝」
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